第3回『からだの水・・・冷えとむくみの解消』
生命力に満ちた新緑の季節には植物と同様に人間のからだも覚醒 し、まるで光合成を行なうように活動しはじめます。今は夏に備えての体調管理の準備をはじめるよい時期ですね。今回はこれからの時期にお役立ていただきたい「からだの水」についてお話をさせて頂きます。
漢方医学では人間の心身の状態を「気・水・血」3つの要素から観察します。
「気は自律神経のはたらき」
「血は体内の組織に栄養を送る血液のはたらき」、
「水は血液以外の体液に相当し代謝や免疫システムなどに関わるはたらき」とされ、これらがバランスされ循環されることで健康な状態を維持します。
私たちの体内の約70%はこの血液や体液の水分で出来ています。
漢方医学では特に女性に関わりのある「むくみ、冷え、めまい」などの症状は、
この水分が必要のないところに滞ることで引き起こされる「水毒」の症状と呼びます。特にこれからの季節はどうしても冷たい飲み物やビール等の飲み過ぎから、からだを冷やしてしまいがち。からだにとって過剰な水分の摂り過ぎは不妊症の原因ともなります。湿度の高い梅雨時期の日本の風土では、衣食住においても昔から水毒を防ぐさまざまな生活の智慧がありました。そのなかでこれらを補う食品として「梅干し」があります。これからの夏に向けて積極的に取り入れたい食品です。
梅干しは漢方の栄養学では「陽性 」に分類される代表的な食品のひとつ。
この梅干しの原料となる梅と塩には血液浄化・造血作用、体力増進の働きがあり、疲労回復や免疫力を高め、冷えやむくみの原因となる症状に働きかけます。
梅は古来から中国では「薬」として珍重されてきました。日本において食用にと改良し生まれた梅干しは、私たちの風土から生まれた保存食の智慧の結晶と言ってもよいと思います。梅には抗菌作用があることで、これから湿度の高い季節のお弁当やおむすびに梅干しを使用するのもそうした智慧からです。
ちょうどこれから梅干しを漬ける時期ですね。
梅干しはごはんとの相性がよいことからも、どちらかというと「和」の食材としてバリエーションが限られてしまいがちですがさまざまに生かしてゆけるものです。
また梅干し作りはやってみると楽しい手仕事です。自分でつくることで食べ物への愛着もわき、何より安心して食べることのできるものでしょう。
●はじめての方でも簡単に漬けることのできる梅干しづくりは6月中旬以降にブログでご案内したいと思います。
リンク→梅干しづくり http://omusubi-garden.com/ume_rescue.html
●梅干しや梅を生かしたレシピをこちらでご紹介しています。お料理のアイデアにご参考ください。
リンク→梅のある食卓
http://www.mukasiume.com/recipe.html
大人の食育 漢方でバランスアップ
http://omusubi-garden.com/otonashokuiku.html
第2回『自律神経と米』
以前おむすびの著書のなかに、米の持つ効用についてを少し書かせて頂きました。
私たちの主食である米は、バランスに優れた素晴らしいエネルギーを持った食べ物です。赤ちゃんの離乳食、体力の弱っている病人に粥を与えることも、いかに米が滋養に満ちた食べ物であるかがわかります。 それに含まれる炭水化物は体内で消化されるとブドウ糖となりますが、これが私たちの神経の緩和に大きく関わっています。特に妊娠を望まれている女性にとっては生活習慣が影響されることはご存知のとおりで、ストレスは本来発揮すべきからだの機能や免疫力を低下させてしまいます。
ストレスのメカニズムは血液中のインシュリンの過剰分泌によって引き起こされます。そのスピードが早いほどストレスになりやすい。そこへ消化されたブドウ糖は、インシュリン分泌にジワジワとゆるやかなスピードで働きかけるのです。身近でよく食べているお米って、実はからだにやさしく頼もしい存在なんですね。またお米には豊富な繊維質が含まれています。特に自然な排泄は大切なこと。便秘や下痢などの胃腸のトラブルには、ストレスが要因で引き起こされるケースもあるようです。
ご参考までにおむすび約一個 (お茶碗約一杯 120gの場合)のごはんに含まれる食物繊維は、精白米では0.36g、玄米の場合は1.68g。成人が一日に摂取する食物繊維の量は20〜35gが理想といわれています。 これはほうれん草にすると約5束に匹敵するもの。なかなかの量になりますね。例えば玄米のおむすびにひじきを炊き込んで入れた2個のおむすびで、成人が理想とされる半分の食物繊維を摂ることができます。ごはん (炭水化物)は太るかも...と敬遠される方もいるようですが、カロリーはあくまで食物のエネルギーの目安であり、大切な働きにも目を配り食べ方を工夫して取り入れたいものです。
食べものは絶えず私たちのからだと交信しながら細胞をつくり、からだの働きを機能させ生きるために必要な循環を繰り返しています。それは自然界の植物や生き物たちも同様です。人は美味しく食べているとき、緊張がほぐれからだも自然と緩みます。
リラックスすることは本来の生命力を高める・・・自然体こそが食養生なのですね。
※ 写真は「山椒の実とちりめんじゃこのおむすび」
●レシピ
< 山椒の実の塩漬け >
漢方でも用いられる「山椒」は、食材としても独特の香味と刺激が特徴です。
薬効としては、冷えを緩和しお腹を温める効果があります。
簡単に作れる保存食として、おむすびの具材としても大活躍。
これから収穫を迎える季節に、手作りの山椒の実を漬けてみませんか ?
ご参考ください。
* 材料 : 山椒の実 500g 塩 (漬け用) 150g
* 準備 : 漬ける容器、重石 (重石は山椒の実と同等の重さ)
* 作り方
1.山椒の実は水洗いした後に、沸騰したたっぷりのお湯で2分ほど茹でます。
茹で上がったものをいったん水にとり、水切り後に水分をとります。
2.漬ける容器は予め熱湯等で消毒をしておきます。
容器の下に塩を敷き、山椒の実と交互に塩を入れてゆき、その上に重石をのせます。
3.2〜3日すると水があがってきますので、その後重石を半分の重さにしてそのまま一週 間漬けます。
4.その後に山椒の実をざるにあけ汁気を切ったものに軽く塩をふり、密封容器に入れて保 存します。保存は湿気の少ないところか、長期保存の場合は冷蔵庫での保存をお勧めし ます。
※ お好みによってこれらを塩抜きしたものを、しょうゆとみりんで炊いても美味しく召し上がれます。
あちらこちらからさくら便りが届くなか、まだ雪が残る北の里山ではふきのとうが顔を出しています。 植物たちは光によって次々と目覚めてきますが、私たち人間にとっても同様に光は自律神経ととても関係し、子宮の健康な働きやホルモンバランスにも影響しています。春の新芽の野菜たちは、冬の間に土のなかで蓄えられた養分をたっぷりと吸収し実りを迎えます。漢方の栄養学は「食養生」に示されているように、病気にならないからだづくりの食の知恵の体系です。そのなかで「旬の食材」はその時期に最も充実したエネルギー=栄養価を持つもの。すなわち私たちのからだが喜ぶエネルギーを供給してくれるのです。
春の野菜には、ふきのとうをはじめセリ、うど、セロリなど香りの強い野菜が多いのが特徴です。 この苦みやえぐみは、 自然と闘うための植物の種子保存の知恵によるもの。近年はこの苦みをなくし品種改良されたものもありますが、実はここには私たちに必要な大切な働きがあるのです。 天然種のふきのとう、セリ、うどなどに共通するものは、漢方では「鎮咳(ちんがい)、去痰(きょたん)」とされ、咳抑え痰を切る薬効や解熱、解毒作用があるといわれています。 ちょうど季節の変わり目にあたるこの季節に、からだの老廃物を排泄し整える働きをします。つまり風邪をひいて鼻水や咳を出すのと同様に、一度体内に溜まったものを掃除するのに一役かってくれているわけです。
自然のサイクルは私たちのからだと密接に関係し、バランスをとり体は喜んで生き生きと働きをしてくれるのです。こうした春の野菜はからだの目覚めの妙薬にあたるもの。この季節の「旬」をぜひ楽しんでみてください。
レシピ
<ふきのとう味噌> 調理時間 約20分
ふきのとうのほろ苦い味と香りは、麦味噌と相性がよいようです。ごはんが進む逸品です。ご参考ください。
材料 : ふきのとう、味噌 、みりん、さとう (お好みで)
1.ふきのとうは熱湯にひとつまみ塩を入れ、3分程度茹でます。
2.湯きりしたふきのとうは、冷水で5分程度水にさらします。
3.鍋に味噌とみりんを合わせ、そこへ刻んでよく絞ったふきのとうを混ぜます。
4.弱火で焦げないようによく混ぜて出来上がり。
オオクラチエコ
おむすび研究家・カラリスト
「おむすびは人と文化をむすぶ」をテーマに、
こどもも大人も楽しめる「おむすびワークショプ」「おむすび食育」を通して、
おむすびの魅力を伝える「おむすびプロジェクト」の活動を展開。
現在カラリストの経験を通して、自然科学をテーマに環境、食、ライフスタイルの提案を行っている。
著書 : 「むすんでみませんか ? おむすび」 出版 :ピエブックス

